「……さ、帰ろうぜ」


「は、はい……」


翔さんに手を差しのべられ、ゆっくり立ち、外につながる玄関に向かう。


玄関を出てすぐ、近くにいるメイドさんたちの騒ぎ声が聞こえた。


もちろん、私の隣にいる翔さんも気づき。


いきなり私の肩を抱き寄せて、言い放った。


「……藤堂の婚約者候補になってた話は、なしにさせてもらう。


こいつ、俺の女だから」


さらにメイドさんたちが騒ぐのもおかまいなしに、翔さんは私の手を引っ張って、藤堂家をあとにした。


玄関を出た瞬間、私は軽やかな気持ちになった。