「いや、そういうわけじゃ……」


「許さない。


初恋相手が我妻家の人間に取られるなんて、絶対に許さない」


怒りのこもった瞳と言葉。


そこにはもう、優しかった洋季さんが見あたらない。


「あきらめろっていうなら……」


洋季さんがボソッとつぶやいた。


と思ったら、急に押し倒されて……。


「……っ!」


頭が床にぶつかり、鈍い痛みが襲う。


「憎き我妻家のものになるくらいなら、俺がその唇奪ってやる‼︎」


き、キスされる……!


そう思ったとき。


バンッ‼︎


「人の女に手出すなっつたろ」


地下のドアが開いたと同時に、大好きな人の声が聞こえた……。