掃除機を手に取り、1階のキッチンやリビングの床をすみずみまで掃除していると、再び声をかけられた。


誰に声をかけられたかなんて、言わなくてもわかる。


「……なぁ。


あんた、自分の叔母さんと、なに話してたわけ?」


翔さん、私のうしろについてきてる……。


ちょっと機嫌が直ったのかと思ったのに、まだ機嫌が悪そうだ。


『俺に内緒で、なにしてたんだよ』


翔さん本人は言ってないけれど、そんな言葉が聞こえてくる。


そうか。


翔さんが不機嫌な理由、わかった。


自分がいない間に、私がコソコソと家を出て、自分の言葉に対して、ちっとも返事をしなかったからだ。


掃除機を止め、くるっと振り返る。


「会わない間、元気にしてたかって言われただけですよ」