イケナイ王子様

「愛海が、藤堂にさらわれてるかもしれないんだよ。


頼む、俺に伝えてくれ」


俺が、誰かに『頼む』と言ったのは、いつ以来だろう。


全然記憶がない。


「翔様……」


「あいつが好きなんだよ。


あいつを守ってやりたいんだよ。


頼む……」


土下座でもしそうな勢いで、頭をさげる。


すると、俺の気迫に負けたのか、弓屋が顔に笑みを浮かべた。


「……わかりました。


翔様がそこまで言うなら……」


「本当か⁉︎」


さげてた頭を、勢いよくあげる。