イケナイ王子様

広げたメニュー表で顔を隠す。


嫌でも胸がチクチクする。


ふたりの会話も、耳に響いてくる。


「ねぇ、翔くん。


今、翔くんが座ってる席に座ってもいい?」


やめて。


ミドリさんが翔さんの隣に座ったら、胸のチクチクがさらに大きくなるから。


お願い、ミドリさん。


翔さんの隣に座らないで。


ギュッと目をつぶりながら、心の中でつぶやいた直後、翔さんがこう返した。


「すみません、ミドリさん。


今、中学時代の友達と来てるんです。


その友達、極度の人見知りで、知らない人がいるだけで怯えちゃうんです。


だから、座らないでください」


えっ?


今、翔さんは、なんて……?


“中学時代の友達”……?