その声が、愛海に聞こえたかどうかはわからない。


でも、愛海が好きだというのは本音だ。


いい顔をして眠ってる愛海の頭をもう一度撫でたあと、愛海のまぶたに軽くキスをする。


軽いリップ音が聞こえた直後、俺は愛海に背を向け、部屋を出た。


愛海の部屋を出て、自室に向かう。


その間に考えるのは、愛海と藤堂の関係。


あいつらは俺に隠れて、なにかコソコソしている。


ふたりが一緒にいる様子は、以前、遊園地で、大学の友達と先輩たちと一緒に行った日に見た。


はたから見たら、仲睦まじいカップルに見えたけれど、愛海の本当の彼氏は俺だ。


藤堂なんかに渡さない。


もし、愛海が藤堂に襲われそうになったら、絶対に守ってみせる。


いや、絶対に守る。


そう決意し、俺は自室に入った。