こいつ、今、どんな夢見てんのかな。


いい夢か、悪い夢か。


でも、悪い夢を見てるんだったら、こんなに気持ちいい顔はしないはず。


きっと、いい夢見てるんだな。


愛海の頭から手を離し、部屋を出ようと、背を向けた。


そのとき。


「う〜ん……洋季さん……」


その名前が聞こえて、俺は足を止め、愛海に目を向ける。


“洋季さん”……藤堂の下の名前か。


愛海が、俺以外の男の名前を呼んでるのを聞くと、胸が痛くなる。


下の名前で呼ぶことが特別なことだとは限らないと思う。


なのに、こんなに胸が痛くなるのは、独占欲の強さからくるものだろうか。


なんて思いながら、再び愛海のもとに向かい、顔を近づける。


「……好きだよ、愛海」