イケナイ王子様

「恋愛ドラマ?」


「はい。


中学時代の友達が大好きな少女マンガが、原作らしいですよ」


そんなに詳しくないのに、観てるドラマのこと話しちゃった。


「ふーん」


ん?


翔さん、なんか興味津々……?


「もしかして、恋愛ドラマ好きなんですか?」


「…………」


あ、あれ?


答えてくれない……。


なんで答えてくれないんだろう。


心の中でそうつぶやき、翔さんの横顔を見つめる。


翔さんの視線は、テレビに釘づけ。


『好きかって言われても、わかんないよ……』


今、映っているのは、主人公が自分の部屋で、相手役の男の子に押し倒されてる場面だ。


いつの間にか、場面が切り替わったようだ。


「…………」


なにか考えるような顔で、じーっとテレビを凝視する翔さん。