イケナイ王子様

「ミドリ先輩の気持ちは、ありがたく受け取りたいと思います。


でも、俺……彼女がいるんです。


あいつのこと……大好きなんで」


ちゃんと断ってくれた。


私のことが大好きだと言ってくれた。


けれど、心の底から、安心することができない。


私にほとんど見せない満面の笑みを、ミドリさんに向けてるから。


「……っ」


今にも泣きそうな顔をしてうつむくミドリさん。


それほど、翔さんのことが好きなのだろう。


「す、すみません、悲しい気持ちにさせてしまって……。


俺が悪いんですよね」


めずらしく、翔さんが慌てる。


「……いや、翔くんは悪くないの。


翔くんに恋人がいることを考えずに、翔くんに告白した、私が悪いの」


まるで、なにごともなかったかのように、明るく振る舞うミドリさん。