イケナイ王子様

え……?


今……翔さんはなんて言った……?


嬉しい……?


ありがとうございます……?


それって、もしかして……。


『俺も、ミドリさんが好きです』


そういうことじゃないよね……?


ねぇ、翔さん……。


そんな、まんざらでもなさそうな顔しないでよ。


そんな顔を、私以外の女の人に見せるたび、私、胸が苦しくなるんだよ。


彼女がいるのに、他の女性に『嬉しい』って言うなんて……。


「そ、それってつまり……」


「嬉しいです。


先輩に、好きって言われて」


翔さんが満面の笑みを浮かべる。


さらに胸が痛む。


そんな笑顔、私に向けてきたこと、ほとんどないのに。


ミドリさんに見せたりしないでよ。


ねぇ、翔さん……。


「じゃあ、私と……」