「ふんふ〜ん」


秋の涼しい風が吹くある日。


今、私は家のお風呂場の窓を拭いている。


『お手伝いさんとしてじゃなく、彼女として一緒に住んでくれないか?』


翔(しょう)さんと両想いになった日、翔さんにそう言われた。


両想いになり、ずっと一緒にいたいと思った私は、その言葉にうなずいた。


だが、今はお風呂掃除をしている。


普通、この仕事は、お手伝いさんがすることになっているが、今は私がやっている。


それは、ただ単にお風呂掃除をしたい気分だったからに過ぎない。


鼻歌を歌いながら窓を拭いていると、うしろから、声がした。


「おー、ご苦労さん。


朝から風呂の掃除してくれるなんて、ありがたいな」


「し、翔さん!」