女王様の言うとおり

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大西さんとキスをした人間はみんな虫を大切にするようになっている。


ただ虫が好きとか、そんなレベルじゃない。


人間と虫は同等であり、虫を殺せば殺人罪と同じだけの罪があると考えているのだ。


あたしは唖然としながら先生の話を聞いていた。


「虫の中にも悪いヤツはいる。でも、だからって殺してはいけない。それは虫の世界に人間が無理矢理入り込んで、生態系を壊すのと同じことだ」


教卓の前に立ち、熱心に話す先生。


今まで先生が虫について話をしたことなんてなかったし、虫好きだと聞いたこともなかった。


大半の生徒たちが先生の話を怪訝そうに聞く中、熱心に耳を傾けている生ともいた。


大西さんと、男子生徒2人だ。


3人だけは先生の話に頷き、わからないところがあれば手をあげて質問をする。


そのためか、他の生徒たちもなんとなく先生の話を止める事ができないままでいた。


先生の虫の話は止まることを知らず、気が付けばチャイムが鳴って休憩時間になっていた。


それでも話が止まらなくて、さすがにひとりの女子生徒が手を上げていた。


「あの先生。もう時間が過ぎています」


教卓の後ろの時計を指さして言う。


しかし、先生はその女子生徒を睨み付けたのだ。