女王様の言うとおり

え……?


あたしは自分の耳を疑った。


先生は男子たちに押し倒されて殺虫スプレーを口の中で噴射されたことを忘れたのだろうか。


「虫は大事にしないといけないよな」


先生の言葉に男子2人が大きく頷く。


「そうですよ先生。安易に虫を殺しちゃいけない」


男子生徒がやけに真剣な表情でそう返事をした。


そのセリフにも驚いたけれど、先生に敬語を使っているところにも驚いた。


おおよそ、そんなキャラではなかったはずだ。


「そうだよな。よし、みんな席につけ! 次の授業では虫の命について勉強することにしよう!」


一体これはどういうこと……?


自分の背中に冷たい汗が流れて行くのを感じたのだった。