女王様の言うとおり

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あたしたちが大山君を連れて来たのは近くの交番だった。


警察官に大まかな説明をして、もしかしたら薬物の可能性でもあるんじゃないかという懸念を伝えた。


異様なまでに虫に依存している大山君に、警察官も怪訝そうな表情になった。


大山君は逃げ出す事もなく、胸を張って話を聞いていた。


「それじゃ妙検査をしてみようか」


警察官はそう言うと戸棚の中から薬物チェックのキットを取り出した。


「結果が出るまで10日ほどかかるけど、薬物をやめて何日も経過していたら陽性はでないかもしれない」


説明しながらキットと準備していく警察官。


あたしはその光景にゴクリと唾を飲み込んだ。


自分が検査されるわけでもないのに、嫌に緊張してしまう。


しかし、検査される大山君はひとり涼しい顔で立っていた。


「検査したってなにもでてきませんよ」


「結果が出てから、判断する」


警察官はチラリと大山君を見やり、そう言ったのだった。