女王様の言うとおり

麻薬をしていないか? なんて質問、外でできることじゃなかった。


「おじゃまします」


3人で家に上がらせてもらうと、甘いハチミツのような香りが鼻腔を刺激した。


この匂い、大西さんから漂ってくるのと同じ匂いだ。


不快ではないけれど甘ったるい匂いに思わず顔をしかめてしまう。


「先に上がってて。階段を上がって一番手前の部屋だから」


大山君はそう言うと軽快な足取りでキッチンへと向かった。


大山君の部屋のドアを開けた瞬間、甘い匂いはキツクなった。


それは喉を刺激するほどの匂いで何度かむせてしまった。


「なんだこれ……」


先に部屋に踏み入れていた柊真が唖然とした声で言う。


「どうしたの?」


質問しながら後に続いた瞬間、巨大な透明ケースが目に飛び込んできていた。


普段は水槽として使われるそれが大の上に置かれ、半分ほど土が入れられている。


その中にいたのは大量の蟻だったのだ。


蟻は土の中に巣を作り水槽の側面からそれが見えるようになっている。