しばらく待っていると、恐る恐るといった感じで玄関のドアが開いた。


出て来たのは大山君本人だった。


ブルーのパジャマ姿で髪はボサボサ、今起きたところなのかもしれない。


「君たちか……」


大山君は覇気のない声で言い、俯いた。


普段から目立たないタイプではあったけれど、ここまで落ち込んでいる様子は初めて見たかもしれない。


あたしは一瞬言葉に詰まって大山君の姿をマジマジと見つめてしまった。


「どうしの、大山君……」


そう言ったのはヒナだった。


ヒナの言葉に大山君はビクリと体を跳ねさせた。


「なにがあったの?」


「別に……なにも……。大丈夫だから」


そう答える声はとても弱弱しくてとても大丈夫には見えなかった。