灰色の屋根に小さな庭付きの一戸建てだ。


近づいて行くと、隣の犬が大きな声で吠え立てていた。


それに怯えている暇もなく、柊真は大山と書かれた表紙の家のチャイムを鳴らした。


最初、中から反応はなかった。


でもそんなはずはないのだ。


大山君は謹慎処分中だから家にいるはずだ。


もう一度チャイムを鳴らす。


やはり中から誰かが出て来る気配はなかった。


「出てるのかな……」


「謹慎処分中にはうろついちゃダメなはずだろ?」


柊真の言葉にあたしは頷く。


でも、それを守っている生徒はどのくらいいるかわからない。


出直そうか……。


諦めかけたその時だった。


家の中から足音が聞こえてきて、あたしはハッと顔を上げた。