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その後教室に戻ってきた大西さんは、男子2人とギャル3人を従えていた。


5人は大西さんの言葉に熱心に耳を傾けて、大西さんが欲しい物をすぐに提供している。


さっきまで敵意をむき出しにしていた人と同一人物だなんて信じられなかった。


あたしはその光景を見ていることが恐ろしくて、ジッと自分の机を睨み付けていた。


後ろから聞こえて来る声にいちいち心臓が飛び跳ねてしまう。


どうして彼女が真後ろの席なんだろう。


せめてもう少し遠い席にいてくれれば、ここまで気にならなかったのに。


そう思い、下唇を噛みしめる。


「心美、ちょっといいか?」


そう言われて顔を上げると柊真が立っていた。


「柊真……」


柊真の顔を見ただけで安堵する自分がいる。


「いいよ」


あたしはそう言ってすぐに席を立ったのだった。