女王様の言うとおり

☆☆☆

「さっき見たのって夢じゃないよね?」


家の近くまで戻って来て、あたしはようやくそう言った。


さっき見た光景を今でもまだ信じられなかった。


大西さんはあのこわもての2人とキスをしたのだ。


大山君という彼氏がいるのに関わらずだ。


「あぁ。夢じゃないな」


柊真はそう言って大きく息を吐きだした。


大西さんのことはまだよく理解できていないけれど、今日の出来事で余計に理解しがたい存在になってしまった。


大西さんは実は大の男好きなのだろうか?


来るもの拒まず相手にしているのだろうか?


そう考えた瞬間、大西さんの白い太ももを思い出してその映像をかき消した。


「どうなってるのか、全然わかんない」


あたしは左右に首をふる。


すると柊真が「確かに驚いたけど、人のすることなんて気にする必要ない」と、気を取り直したように言った。


柊真は大西さんに興味なさそうだけれど、それでも少しはショックだったのだろう。