女王様の言うとおり

キスされた方の男はまるでふぬけ状態で、ボンヤリと天井を見つめている。


「あなたもする?」


鈴の音のような声がしたかと思うと、大西さんは次の男にキスをしていた。


「なにこれ……」


なんだか妙な雰囲気を感じてあたしは後ずさりをしていた。


見てはいけないものと見てしまったのではないか。


知ってはいけないものを知ってしまったのではないか。


そんな恐怖心が湧き上がる。


「行こう、柊真」


あたしは小さな声でそう言うと、柊真の手をキツク握りしめてその場から離れたのだった。