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その後も休憩時間に入る度、大山君は大西さんの席までやってきて甲斐甲斐しく世話を焼き始めた。


「お腹すいてない?」


「チョコレート食べる?」


「さっきの授業わかった? 教えようか?」


よくもそこまで気に掛けることができるものだと、感心してしまうほどだ。


いい加減うっとうしくなりそうに感じるが、大西さんは声をかけられるたびに笑顔で答えた。


「今はまだお腹減っていないよ。だけどチョコレートは貰おうかな。ありがとう、大山君って勉強が得意なんだね」


相手を失望させないような上手い受け答え。


それに物腰がとても柔らかくて、聞いているだけで癒される。


その声にどんどんのめり込むように、大山君の頬は緩んでいく。


「おい大山、顔キモいぞ!」


大山君の友達がそんなヤジを飛ばしてきても、全く気にしていない。