女王様の言うとおり

☆☆☆

翌日、2年A組の教室へ入ると相変わらず女子たちが大西さんの机のまわりを取り囲んでいた。


あたしの席には座れるように開けてくれているから、まぁいいけれど。


席に座ると後方から甘いハチミツのような香りがしてきた。


どこの香水を使っているのかわからないけれど、この匂いは食欲がそそられる。


「おはよう相沢さん」


突然後ろからスズの音色で声をかけられ、あたしは飛び跳ねるようにして振り向いた。


まさか自分に声をかけて来るとは思っていなくて、油断していた。


「お、おはよう」


大西さんの顔を見た瞬間昨日のキスシーンを思い出してしまい、なんだか赤面してしまってすぐに前方へ顔を戻した。


どうしてあたしがドキドキしなきゃいけないんだろう。


そう思い、乱暴に鞄から教科書を取り出して行く。