あたしはゴクリと唾を飲み込んで次の言葉を待った。


「それでも戦わないといけない。あたしのために……死ねる?」


その質問は過激だった。


女王様のために死ねるかどうか。


普通ならよほどのことが起きない限り命を捧げることはない。


でも、あたしたちにとってこれは戦争なのだ。


とても小さな、ひとつの学校内での戦争。


命をかけることが当然のこと……。


「もちろんだよ」


あたしは大西さんへ向けて笑顔で答えた。


それに習うようにみんなが拳を突き上げて「当たり前だ!」と、叫ぶ。


「やりましょう。アイリはもう、覚悟ができているから」


大西さんの言葉を合図にしたように、体内の蟻たちが蠢き始めるのを感じた。


体の中からカッと熱がこもり、それを排出するように大きく口を開けて息を吐きだした。


次の瞬間……。


ガキッと上あごの骨が音を鳴らした。


激しい熱と痛みを感じてその場にうずくまる。