女王様の言うとおり

診察室から逃げ出そうとしたあたしを、両親が抱きしめるようにして止めた。


「嫌! あたし入院なんてしない!」


「大丈夫だから、落ち着きなさい!」


「離してよお父さん! あたしは正常なんだから!」


どれだけ暴れても、嫌だと叫んでも効果がなかった。


両親は二人とも泣きそうな顔であたしのことを押さえつけている。


そんな悲しい顔をするなら、どうして自由にさせてくれないんだろう。


あたしは正常なのに、なんで……!?


「鎮静剤を打ちましょう。落ち着きますよ」


注射器を持った医者があたしに近づいてくる。


「やめて!!」


チクリとした痛みが腕に走り、あたしはそのまま崩れ落ちたのだった。