女王様の言うとおり

「死んだ蟻はあなたの栄養になるのがいいと思うの」


その言葉にあたしはもう一度死んだ蟻へと視線を向けた。


数匹の蟻は力なく横たわり、少しも動かない。


この蟻をあたしが食べる……?


そう考えた瞬間、頭の奥の方から『やめて!!』と、自分の声が聞こえて来た気がした。


けれどそれはほんの一瞬の出来事で、すぐに掻き消えてしまった。


「それ、いいアイデア」


あたしは大西さんへ向けてそう言い、死んだ蟻へ近づいた。


指先で救い上げて手のひらに載せていく。


その死骸を見ているとジワリと視界が滲んで来た。


知らず、涙があふれ出してしまったようだ。