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時折腹部が蠢くような気配を感じた。


嫌な感覚ではなく、まるでわが子の胎動のようで愛しさを感じた。


次に毎日強烈に甘い物が欲しくなった。


お小遣いのほとんどをチョコレートやあめ玉に投資して食べたけれど、あたしが太ることはなかった。


きっとお腹の中にいる蟻たちの食事になっているのだろう。


そしてもうひとつ、あたしの人生に大きな変化が起きていた。


無条件で大西さんのことを愛していると感じるようになったのだ。


それは柊真に感じる恋心なんかよりももっともっと強い愛情だった。


それこそ、生まれたてのわが子のようだ。


大西さんがどれだけ我儘を言っても可愛らしいと感じるし、彼女の言うことは全部叶えてあげたいとすら思うようになった。


だから「毎日甘いものが食べたい」と言われた時も、躊躇なくお菓子を学校に持ってくるようになった。