女王様の言うとおり

そのキスは今までみてきた誰よりも濃厚なものだった。


触れるだけでは飽き足らず、柊真の唇に何度もキスを落とし、そして舌を出して愛撫した。


キスをされた瞬間、柊真の表情はとろけた。


逃げなきゃいけないとか、抵抗しなきゃいけないとか。


そんな正常な判断は消え去り、ただ目の前の快楽浸る。


クラスメートたちが柊真から手を離すと、柊真は自ら大西さんの唇を求めて彼女の体を抱きしめた。


あちこちから聞こえて来る笑い声は、クラスメートのものだった。


みんな柊真が仲間になったことを喜んでいるようだ。


その中にヒナの顔を見つけたあたしはギュッと胸が押しつぶされるような感覚に陥った。


つい数時間前まではヒナだってあたしたちの仲間だったのに……。


もう無理なんだろうか。


どう頑張っても、あたしたちに勝ち目はないんだろうか。


絶望感が胸を支配していく。


やがて大西さんは柊真から唇を離して「思った通り、素敵なキスだったわ」と、呟いた。


その呟きが胸に突き刺さる。