女王様の言うとおり

「もしかして、大西さんと同じ子なのかも……」


あたしは極力考えないようにしようとしてきた言葉を口に出した。


その言葉を口にするだけで、苦々しい気分になる。


「同じって……女王様ってこと?」


そう聞いて来たのはヒナだった。


幾分か落ち着いてきたようで、顔色は戻ってきている。


「そう。この学校には女王蟻が一匹いる。だからもうそんな子は来ないだろうと思っていたけれど……関係ないのかもしれない」


あたしはジッとリノリウムの廊下を睨み付けて言った。


「縄張り争い」


柊真が低い声で呟いたのであたしはハッとして顔を上げた。


柊真の表情は真剣そのものだ。