女王様の言うとおり

大西さんに見つめられ、たじろいで後ずさりをしてしまう。


大西さんはその視線を隣にいる柊真、そして自分の席に座っているヒナへと向けた。


嫌な予感がして背中に汗が流れて行く。


ゴクリと唾を飲み込んでその視線を受け止めた時、A組のクラスメート全員がこちらへ振り向いたのだ。


沢山の目があたしを見つめる。


ジッと、なにか言いたげに見つめる。


ヒナがその視線に恐怖して息を飲む音が聞こえて来た。


しかし、みんなは視線を逸らさない。


ただ見られているというだけの行為なのに、呼吸が止まってしまいそうだった。


「仲間を増やさないとね」


ひとりの女子生徒が呟くように言って一歩近づいてきた。


「仲間を増やさないとな」


そう言ったのは遊星だった。


遊星はユラリと体を揺らしてヒナに近づく。


あたしは咄嗟にヒナの前に飛び出していた。


遊星が相手だと、ヒナはきっと逃げられない。