結局、大山君はしばらく入院することになった。


駆けつけた大山君の両親に説明をするのは骨が折れたけれど、最近ずっと大山君の様子がおかしかったと言うこともあり、どうにか信じてもらうことができた。


残されたあたしたちにできることは、大山君の回復を待つだけだった。


「そう言えば、昨日転校生が来たって言ってたね」


A組へ向けて廊下を歩きながら、あたしは隣の柊真へ声をかけた。


「あぁ。隣のB組だ。女子だったらしい」


その言葉にあたしとヒナは目を見交わせた。


また女子生徒か……。


一瞬嫌な予感が胸に過ったが、すぐにそれを書き消して笑顔を浮かべた。


「どんな子か、見に行ってみない?」


最近暗いニュースばかりだったから、少しは気分転換になることが必要だった。


「そうだね、行ってみようか」


あたしの気持ちを察してくれたヒナが無理矢理笑みを浮かべて、頷いたのだった。