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大山君の家の人がいなかったので、あたしたち3人は病院まで付き添うことになった。


その間大山君になにが起こったのか質問されたが、答えられるようなことはひとつもなかった。


様子を見に家に行ったら、もうこんな状態だった。


それは死んだ奏と同じ状態に見えたけれど、大山君はまだ生きている。


これから検査をすれば色々なことが分かって来るだろう。


すごいよすごいよ!


僕は巣になった!


彼らの巣になったんだ!


そのメッセージから読み取れるのは恐怖や絶望ではなく、歓喜だった。


大山君は確かに自分が蟻の巣になったことを喜んでいたように感じる。


もしかしたら、奏もそうだったのかもしれない。


誰よりも先に繁殖機として成功した彼女は、自信の事を誇りに感じていたのかもしれない。


「こんにちは」


院内で突然声をかけられて振り向くと、そこには警察官の姿があった。


大山君の尿検査を行ってもらった人だ。