あるいは、あの見た目にしてこの性格だということを認めたくなかった。


「絶対裏があるに決まってる」


思わず呟いた時「眉間にシワが寄ってるぞ?」と声をかけられてハッとした。


見るといつの間にか柊真があたしの机の前に立っていた。


柊真の存在に気が付かないなんて、よほど彼女のことを気にしていたのだろう。


あたしは慌てて笑みを作った。


「そう?」


「どうしたんだよ、険しい顔して」


「別に、なんでもないよ?」


小首を傾げて答えるのは、柊真を好きになってからだった。


ファッション雑誌の恋愛相談コーナーに、彼に可愛く思われる態度というものが載っていて、それ以来小首をかしげるのがあたしの癖になった。


「なぁんかすごいよなぁ」


柊真はそう言って転校生へと視線を向ける。


その様子にチクリと胸が痛んだ。


やっぱり柊真もあの転校生のことが気になるのだろうか。


気にならない人なんて、きっといないけど。