女王様の言うとおり

奏が死んだこと自体が悲しいわけではないというのが伝わって来る、薄っぺらい涙だ。


それでも奏の親族たちは奏はみんなに愛されていたのだと思い、涙を流して礼を述べている。


その光景を見ていると胸の奥がチクリと痛んだ。


あたしたちまで、親族を騙しているような気分になってきてしまい、目を逸らせてしまう。


それから奏の遺体を入れたお棺が、親族の手によってゆっくりと運び出されて来た。


奏とはほとんど会話をしたことがなかったが、目の奥に熱いものが込み上げてくるのがわかった。


同い年の子が亡くなるなんて、考えたこともなかった事実だった。


静かに聞こえて来るすすり泣きの声と共に、棺桶は車へと運ばれて行く。


これから火葬場へと向かうのだろうが、あたしたちはここで奏とお別れだ。


これで、本当に最後なんだ……。


そう思った時だった。


不意にガタンッと大きな音が聞こえてきて、棺桶を運ぶ親族たちが足を止めた。


今の音はなんだろう?


そう思った時、またガタンッと音が聞こえて来た。