女王様の言うとおり

「あの子は虫を守ったから、とてもいい子でした」


大西さんのそんな声が教室に響いていた。


みんなの視線が大西さんへ向かうが、あたしは振り返ることができなかった。


「亡くなってもきっと、天国へ行けると思います」


虫を守ったから天国へ行ける?


他人が聞いたら笑われそうな理屈だ。


だけど大西さんは本気でそう言っていた。


涙で声を震わせて、助かった虫の命を思って歓喜している。


「大西さんの言う通り! 生きていた頃虫を大切にすると、きっと死後も安泰だ!!」


そう叫んだのは遊星で、あたしはビクリと体を震わせて振り向いていた。


遊星は立ち上がり、拳を振り上げて叫んでいる。


その異様な光景にヒナが唇を震わせている。