女王様の言うとおり

☆☆☆

翌日の空は嫌味なほどに晴れ渡っていた。


梅雨入り前の日差しを浴びながら校舎へ向かう。


見慣れた校舎はいつもより少しくすんで、薄汚れて見えた。


「心美!」


声をかけられて振り向くと、ヒナが走って来るところだった。


あたしは校門前で立ちどまり、ヒナが追いつくのを待った。


1人での行動を慎むため、今日はここで待ち合わせをしていたのだ。


そうこうしている間にヒナの後ろから柊真もやってきた。


あたしたち3人は横並びになり、校舎を見上げる。


一見なんてことはない校舎だけれど、一旦2年A組に入ると誰もがその異様さに気が付くことだろう。


クラスの大半がグループも作らず、ただひとりの机に群がっているのだから。


「行くよ」


あたしは大きく息を吸い込んで、校門へ足を踏み入れたのだった。