女王様の言うとおり

こんな曖昧な話じゃ信じてくれないというのは理解している。


こんな説明じゃ、保健室にいられなくなってしまうかもしれない。


でも、今のあたしにできることはこのくらいのことだった。


「それなら、前の学校でも沢山の感染者が出たと思う?」


その質問にあたしは押し黙ってしまった。


あたしの考え方だと、必然的に前の学校でも同じパンデミックが起こったということになる。


だけどそれじゃダメなのだ。


話しが通じなくなる。


「大西さんが通っていた学校でそんな感染があったなんて話、聞いたことがないわよ」


先生が冷静な声で言う。


ついにあたしはうつむいてしまった。


確かに、あたしも聞いたことがなかった。


SNSなどが発達した今、学校内でこんな奇妙な感染があればどこからか情報が漏れてもおかしくないのだ。


それが、一切そんな噂を聞いたことはなかったのだ。