女王様の言うとおり

あたしは自分がこの目で見て来たことを説明した。


しかし、先生は瞬きを繰り返すばかりだ。


「確かに人間に寄生する虫はいるわ。だけど、キスで感染していく虫なんて聞いたことがない」


「それでも、いるんです」


柊真が真剣な表情でいい、先生はたじろいだように視線を泳がせた。


あるいは呆れているのかもしれない。


あたしたちの言っていることは非現実的だと、あたしだって十分理解しているのだから。


「仮にそんな寄生虫がいるとして、どうして大西さんが持っていたのだと思うの?」


「それは……わかりません」


あたしは消え入りそうな声で答えた。


大西さんはこの学校へ来る前に寄生されていたのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。


でも最初に大山君にキスをしたときにはもう、寄生虫を持っていたはずだ。


だとすれば、ここへ来る前から寄生されていたのだろう。


「たぶん、転校して来る前に寄生されたんだと思います」


あたしは自分の憶測を説明することしかできなかった。