女王様の言うとおり

「転校生って確か……大西さん? あの子はとても優秀だって聞いているけれど?」


「確かに優秀かもしれません。でも違うんです! ただ勉強ができたりスポーツができるだけじゃない! あの子は……」


そこまで言ってヒナはまた唇を噛みしめた。


今起こっていることを言おうかどうしようか悩んでいるようだ。


「なに? ちゃんと説明してみて? あなたたちが教室へ戻れない原因なんでしょう?」


先生が身を乗り出してそう聞いて来た。


あたしは大きく頷く。


「あの子は少し変なんです。他の生徒たちも、先生も、あの子のせいでおかしくなっていく」


「どういうこと?」


静かに説明するあたしに、先生は眉間にシワを寄せた。


「寄生虫がいると思うんです」


あたしの言葉に先生はポカンとした表情を浮かべた。


柊真とヒナに助けを求めるように視線を送るが、2人とも沈黙を守っている。


本当のことなのだから、信じてもらうしかない。


「大西さんはキスで人に寄生虫をうつす。うつされた人は過激に虫に執着するようになって、虫を守るためにクラスメートに暴力を振るったり、赤信号なのに飛び出して交通事故に遭ったりするんです」