女王様の言うとおり

☆☆☆

『もう遅いわよ』


その言葉通り、あたしたちが男子生徒2人を見つけたときにはもう、2人の唇が合わさった後だった。


その衝撃的な場面を見てしまったあたしたちはその場に立ち尽くし、絶句してしまっていた。


男子生徒は田村君から身を離すと、何事もなかったかのように教室へ戻って行く。


後に残された田村君は恍惚とした表情を浮かべ、廊下に這っていた小さな足を見て愛しむような視線を向け始めた。


「感染したんだ」


柊真が呟く。


「脳まで洗脳されているから、仲間を増やすために誰彼問わずキスをしてるのかも……」


今の光景はそれを証拠づけるものとして十分だった。


2人が愛し合っていたとも考えにくい。


「こうやってクラス中の生徒を感染させる気かもしれない」


「そんなに仲間を増やしてどうする気? なにが目的なんだろう?」


あたしの言葉に柊真は左右に首を振った。


「わからない……。でもきっと、これが生き残る術なんだろうな……」