「でも、大西さんに感染している虫がキスを経由しないと感染しないとしたら?」


ヒナの言葉にあたしは目を見開いた。


ネット情報をざっと読んだだけではそのような寄生虫はいなかったはずだ。


しかし、ヒナの表情は真剣だった。


「これだけの種類の寄生虫がいるんだもん。突然変異とかがあってもおかしくないと思う」


「そうかもしれないけど……」


だから大西さんは自分から男子生徒の誘いに乗り、自らキスをしていたのかもしれない。


「大西さんも被害者の一人なら、どうして寄生虫を撃退しようとしないんだろう」


ふと浮かんだ疑問をそのまま口にした。


大西さんも感染者の一人だとすれば、寄生虫のせいで苦しんでいるのではないかと思ったのだ。


「脳を破壊する寄生虫も沢山いる」


そう言ったのは柊真だった。


柊真の顔はパソコンの明かりで白く照らし出されている。


「大西さんに寄生した虫が、最初に大西さんの脳を破壊し、洗脳して動かしているのだとしたら?」