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「信じられないほどの美人……」


休憩時間になり、女子トイレへと駆け込んだあたしはヒナへ向けてそう言った。


「確かに……」


あたしとヒナは同じように腕組みをして鏡の前に立っていた。


他には個室を使う生徒がチラホラいる程度だ。


「あんな美人ってなんだか嘘くさいよね」


ヒナがトイレの床を睨み付けてそう言った。


「嘘くさい?」


聞き返しながらも、なんとなくその気持ちは理解できた。


あれだけ美人だと作り物ではないかと疑ってしまう。


「整形、してたりして」


ヒナがあたしの気持ちを見透かしたかのように呟く。


「もしそうだとしても、美人は美人だよね」


「でも、嫌じゃない? 整形なんて」


ヒナがトゲを含んだ声になるのは転校生を敵視しているからだろう。