「もしも大山君に陽性反応が出たら、遊星も……」


ヒナはそう言って鼻をすすりあげた。


「大丈夫だよヒナ。そうと決まったわけじゃないんだから」


ヒナの肩を抱き寄せて必死に言う。


しかし、もしも陰性が出たらどうなるのだろう?


薬物でないとしたら、どうして突然みんなの性格が変化したのかわからないままになってしまう。


まさか、彼女自身の体液になにか麻薬的な成分が含まれているとか……?


そこまで考えてあたしは左右に首を振った。


なにを考えているんだろう。


そんな非現実的なこと、あるはずがない。


彼女はどこをどう見てもただの人間だ。


前に人間のマスクをかぶった悪魔のようだと感じたけれど、本物の悪魔なんているワケがない。


「妙だよな」


柊真が顎に手を当てて呟いた。


「どうしてみんな虫に関してそんなに熱心になってるんだ? 他の部分ではいつもと変わりないのに……」