女王様の言うとおり

あたしと柊真は一瞬目を見交わせた。


嫌な予感が胸に渦巻き始める。


まさか、そんなことないよね……?


そんな思いを抱えながら、遊星へ視線を戻した。


「遊星……もしかして、大西さんと……その……」


ヒナがいる手前、はっきりと質問することが憚られた。


しかし、それだけで遊星は気が付いたのだろう、途端に頬を緩めたのだ。


「なんだよ、もう知ってたのか」


照れたように顔を赤くして頭をかく。


「嘘でしょ、どうして……?」


そう聞きながら、あたしの腕はヒナに強く握りしめられていた。


その手の強さからあふれ出してしまいそうな感情を必死に抑え込んでいることが伝わって来た。


「どうして? そんなの、彼女が女王様だからだよ」


遊星は笑顔を絶やさずに言ってのけた。


女王様……。


その単語にゾクリと背筋が寒くなった。


「違うの心美。実は見ていた子がいるの」


ヒナはあたしの腕を掴んだまま言う。


その声は微かに震えていた。