そんなヒナを見てあたしはすぐに席を立って近づいた。


「ヒナ、どうしたの?」


2人の間に割って入り、そう質問する。


「遊星が変なの……」


ヒナはか細い声でそう答えた。


「俺のなにが変なんだよ? 先生の意見に賛同しただけだろ?」


遊星はキツイ声で言い返した。


「どういうこと? 遊星は先生の言っていることに賛成だってこと?」


「だからそう言ってるだろ? 虫を助けるのは当然の義務だ。たとえ自分が死んでもな!」


「それ、本気で言ってるの?」


あたしは目を丸くして遊星を見つめた。


普段はおちゃらけている遊星は、今はひどく真剣な表情をしている。


これこそまるで別人だ。


「もちろんだ」


遊星はあたしの質問に大きく頷き、ヒナはそんな遊星を見ていられないようで顔をそむけてしまった。