女王様の言うとおり

「はい」


大西さんは頷き、スッを伸びた背筋であたしの後ろの席へと向かう。


彼女が横を通る瞬間緊張から思わず生唾を飲み込んでしまった。


「よろしくね」


あたしの席を通り過ぎる寸前で、大西さんは声をかけてきた。


なんの変哲もない普通の挨拶だったのに、あたしの心臓はまた大きく跳ねた。


「う、うん!」


たったそれだけの返事をするのにも、声が裏返ってしまったのだった。