「あ、あの、それで、ゆりえさんって方の容態は……」

「うん。手術は無事に成功。意識が戻ってからは私も涼々も、ゆりえさんと話ができて」

不安で怖かったけど、きっと今回のことがなかったら、私たちが向こうに帰ることはなかっただろうし、

結果として、いい里帰りになったと思う。

最初はまじで生きた心地はなかったけど。

「っ、そうですかっ。よかった……ほんっとうによかった……ですっ、」

まるで菜花ちゃんもゆりえさんと顔見知りなのかと思うほどの様子に、思わず笑ってしまう。

「優しいね、菜花ちゃん」

「……夏目くんにも天井先輩にも、大切な人を失って欲しくないから」

「……ふはっ」

「えっ、あの、天井先輩ってクールビューティーな見た目と違って案外笑い上戸なんですね」

「いやだって。さっきまであんなに私に敵対心剥き出しだったのに、今は私のことまで心配してくれるからさ、おかしくてっ」

こんな可愛らしい子に『クールビューティ』なんて言われて照れ隠しで笑っているのも事実だ。