「服はこの洗濯機に入れてね」
「あ、はい」
そう何度目かの返事をした時、夏目くんの口から「フッ」と息を吐く音がした。
「郁田さん、なんでさっきから敬語?」
洗濯機のスイッチを押して慣れた手つきで洗剤を入れる夏目くんがおかしそうにそう聞いてきてた。
「え……」
「あ、もしかして、覗かれるかもって警戒してる?」
「別にそんなこと考えてなっ……!」
なんで隙あらばそういうしょうもないことを言うんだろうか。
「はい、あとは蓋閉めてスタートボタン押したら完了だからよろしくね」
「……えっ、あ、うん」
そうやって話をコロコロ変えてこっちを振り回すところ、実に感じ悪い。
けど、色々助けてもらってるのは事実だから悔しくて。
「あの、色々と、その、ありがとう……」
言いたくないけれど、絞り出すようにお礼を言う。