お前が好きだなんて俺はバカだな

それから数日後、生徒会での定期的な集まりがあった。

見回りで何かあったか報告するための集まりだけど、もちろんあのことは話さない。

そして、夏祭りの話になろうとしたとき。

「ひとつ話があるんですけどいいですか?」

先輩は急遽話を切り出した。

「今回、この夏休み中の生徒指導等の活動は滞りなく、真っ当に終わらせる気でいますが、それ以降の活動は、以前よりは消極的になると言うことを報告したいと思いまして。」

あ、そうだった。

先輩、ちゃんと言うって私に...。

「また急に改まってどうしたの?
消極的って...?」

「個人的なことですし、もしかしたら既にご存知かもしれませんが、俺と結野は、
付き合ってるので。」

...。

なんか、改めてこう言われると恥ずかしいな...。

「場合によっては2人の時間を優先したいことも今までも少なからずありました。
今後は、そういうことがもしあったら、俺からはっきりと言わせてもらいます。」

...。

沈黙が流れる。

「遠谷くんらしからぬ主観的な意見ですね。また抽象的でもあって、こちらもどうしたらいいのか実に分かりにくい。」

こう言ったのは、副会長だった。

「まあ、遠谷くんの言いたいことも分からなくはないです。
でも、私も生徒会の活動と割り切って私生活を制限しているところもありますから...。」

薫子先輩も、続けてこう言った。

「確かに、活動全般を遠谷くんに頼りきっていた面もありますので、それは今後気をつけようとは思います。
ですが今のような個人的な意見は、必然的に学校や生徒会という組織に通用しにくいものではないでしょうか。」

確かに、間違ってない。

最初、先輩だってそう言ってた。

これは、先輩の口から言わせてるけど、

「私」のわがままなんだ...。

「ごめんなさい。
さっき、先輩が言ってたのは、全部...。
私のわがままなんです。」

「結野...。」

「夏休み、先輩と過ごせる時間が少なくなって、焦ってしまったんです。
それで、私がわがまま言って、喧嘩になっちゃいました...。だから先輩は、私のために...。」

「それはあなた方の問題であって、生徒会の問題ではないでしょう?
どちらが言おうが、こちらには関係ないことですよ。」

副会長の言葉が辛辣に心に突き刺さる。

こんなにも組織って、個人を受け入れないんだ...。

「こちらも主観的な意見になりますが、
それほどお二人の時間を大切にされたいのならば、一番簡単で確実な方法があるのでは?」

「辞退...ということですか。」

「ええ。
その方がお互いにわだかまりができなくて済むでしょう。
今思えば、あなた方2人は、最近の活動に対して既に消極的な姿勢で臨まれていましたよ。言わなければ悟られないとでも思いましたか?」

その、副会長の言い方に、
私はなんだか腹立たしくなってしまった。

「分かりました。
私、生徒会を辞めます。」

「え、ちょっと結野...?」

「俺も辞めます。」

「え、美礼まで...?」

会長は先ほどから訳が分からず戸惑っているようだが、

副会長は、

「生徒会の辞退に関わる書類の手続き、またその後の処分につきましては、こちらでは一切の責任を持ちませんから、そのつもりでよろしくお願いします。」

と、なんともお堅く事務的に発言した。

私も負けじと堅くお辞儀をする。

先輩もそうして、生徒会室から出た。