お前が好きだなんて俺はバカだな

翌日、教室に彼女を呼び出した。

「無事だったんですね。」

えりなちゃんは心底意外そうに目を細めていた。

「もしかしたらもうお話しできないかもしれないって、心配してました。」

「君...やっぱり誰にも相談しにいかなかったんだね。」

「はい。相談しても無駄な犠牲を増やすだけですから。」

無駄な犠牲...。

よほど、イルマって人の怖さが分かっている感じだ。

「あなたが、お兄ちゃんがずっと言ってた遠谷美礼さんだったんですね。」

「君のお兄さんがずっと言ってた遠谷美礼かは知らないけど、俺は一応、遠谷美礼だよ。」

先輩...。

なんですかそのアメリカンジョークみたいな話し方。

「お兄ちゃんが会いたいっていうくらい強い人だから、
あなたは相当強いんだと思います。でも...。

本当にお兄ちゃんに勝てますか...?」

「勝つ気はないけど、負ける気もないかな。」

「...だめです、見た目だけでお兄ちゃんに手加減しちゃったら、怒って、ころされちゃいますよ...?」

つくづく言うことが恐ろしい。

そんなぶっそうなこと...。

「今のうちに降参するのも、私は手だと思います...。」

「...じゃ、早めに降参しようかな。」

「え、先輩、降参するんですか?
まあ、先輩が無事でいるのに越したことはないですよね...。」

でも、そんなにあっさり?

昨日はあんなに余裕な感じだったのに。

「だってやりたくもない戦闘させられるぐらいなら、降参したほうが手間が減るだろ?」

「本気で降参の意思を表さなければ、お兄ちゃんは停戦するために条件を出してくると思います。

例えば...美咲さん関連で...。」

「あー、わかった。やっぱりやろう。
若干めんどくさいけど、結野に手出されるよりずっとマシだ。」

「私は、場合によっては御自分の命を最優先にするのも間違いではないとは思いますが...。」

「...え、そんな強いの?君のお兄さん。」

「あなたは強いのかもしれませんが、相手の強さを見極める力には乏しいんですね。
そしてその油断が、あなたにとって命取りになる...。」

「へぇ...。」

先輩はまるで西部劇でも見ているかのように何故か感心したような様子だった。

確かに油断しすぎかも...。

私には、何ができるのかな。