お前が好きだなんて俺はバカだな

先輩と生徒会の仕事。

とは言っても、見回りするだけだから、思ったより楽...。

でも、万が一何かあったら先輩が一番大変なんだろうな。

「先輩そういえば、格闘技も強いんですね。」

「別に強くない。普通だ。」

「でも、私に何かあったら、守ってくれるのかなぁ…って。」

「何もないのが一番だろ。」

「分かってますけど、やっぱりちょっと憧れちゃうじゃないですか。」

「意味が分からん。」

「先輩に女心を理解するのは早いですかね。」

「理解できなくて悪かったな。」

「先輩、怒っちゃいました?」

「別に。」

別にって...。

「ほら、手ぎゅっとしてあげますから。」

「...ゆるす。」

「先輩、手ちょっと冷たいですね。
夏なのに...どうしてでしょう?」

「それはさっきお前にキンキンに冷えたメロンソーダを持たされたからだ。」

「えへへ、そうでしたね。
好きなんですよメロンソーダ。
でも、いっぺんには飲みきれないですし、
夏休みバージョンのエセラビちゃんグッズもいっぱい欲しかったんです。」

「そうだな、知ってる。」

「見回り楽しいですね♪」

「お前さては真面目にやる気ゼロだな。」

これだったら、デートしてるのとそんなに変わらないかも。

最近先輩は私に甘くなってきたから...。

渋々ながらも私のやりたいようにさせてくれる。

と、そこに...。

「先輩、あれ...。」

私が指差した路地裏を先輩も見る。

そこには、見覚えのある制服を着た女子生徒が、同年代程度の私服を着た男たちに囲まれていた。

男たちは女子生徒を脅して金銭を巻き上げようとしている。

カツアゲってやつ...?

うそ...女の子相手にやるなんて...。

ここからの先輩の仕事は早かった。

先輩はまるで刑事さんのように堂々と現場に入っていく。

そして、先輩を見た男たちはぎょっとして逃げるようにその場を去った。

殴り合いとか...ないんだ。

いや、ないに越したことはないんだけど、

相手も相手でちょっとスポーツとかやってそうで強そうだったからちょっと意外...。

「先輩、大丈夫でした?」

「俺は大丈夫。
君は、何かされなかった?」

女子生徒は頷く。

胸にある校章の色から、私と同じ一年生であることが分かる。

「あの人たち、誰なんでしょう?」

「あいつらは隣町の高校生。
今日居合わせたのは、三井、仲林、赤城、友原の4人。」

「え、名前まで分かるんですか?」

「同中だったし、やることは知れてるからな。あと2人いるはずだけど、今日は...。」

と、言ったところで、先輩は路地裏の奥を見つめた。

そこには、先輩と同じくらいの背格好の一見真面目そうな男と、やたら身体が大きい男の2人が見えた。

「お前は先にこの子を連れて避難しろ。」

急に命令されて、私は一瞬うろたえるけど、

先輩の言う通りにしなくちゃと思い、女子生徒の手を引いてその場から離れた。

先輩...大丈夫かな。